まんたまシルバー

無駄にヲタクな、しろがねえいじの日記。 濃い話題なども飛び出すので、一見さんは要注意☆

超久しぶりにイベント参加します。 5月12日 コミックシティ大阪94 5号館 ウ-50b 『しるべらげ』

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『宇宙特捜デカマスター』第一話・中編

昼間痛かった頭が、今回の小説を書いてたら
いつの間にか気にならなくなっていました。

人体って不思議♪
しろがねえいじです、こんばんは。


さて、趣味全快の時間がやってまいりました。

『宇宙特捜 デカマスター』第一話・中編をお送りします。

良ければご笑覧ください。






『第一話 襲来!流浪の侵略軍!!・中編』


宇宙刑事二人が現地の監視員とのランデブーポイントに指定されたのは、
人気のない工場跡地だった。

空は快晴で、およそ争いや犯罪とは無縁であるかのような蒼天である。

だが、それでもこの惑星、ひいては、この国に事件はある。

だからこそ、二人は極秘の命を受け、宇宙警察機構から遠く離れた
辺境惑星までやって来たのだ。

地球で極東と呼ばれる位置に属する日本が、彼らの滞在先であった。

季節は春。

桜が咲くのはもう少々後の時期だが、気持ちの良い風が
二人の顔を撫で付けるように吹いた。

思わず油断してしまいそうな心地よさに、ドギーは気合を入れなおすべく
制服の襟元を正した。

「気持ちいい風ね。」

それを見透かしたわけではないだろうが、
同じ気持ちになっていたであろうスワンが一言呟いた。

「同感だ。アヌビス星でも、こんなのどかな風景はあまりない。
 スワンの星はどうだったんだ?」

「チーニョ星も似たような風景はあったわ。
 でも、あの桜って植物みたいな木はなかったわね。

 もう少ししたら綺麗な花が咲き誇るそうだから、楽しみだわ。」

その言葉を受けて、照れたわけではないが、
ドギーは整った顔を、指先でむず痒そうに掻いた。

「…しかし、目立たないようにとはいえ、地球人顔は違和感がある…。
 鼻がこんな間近にあったんでは、慣れるまで相手との目測を誤りそうだ。」

そう、ドギーは宇宙未開の星・地球では目立ちすぎる容姿をしていた為、
本部で地球人に擬態する術を施されて来たのだ。

むこう1年ほどは、地球人の顔のまま過ごさねばならないと知った時は
さすがの勇士も二の足を踏みかけた。

「大変だけど、しばらくは仕方ないわね。

 ドギーとは初対面の時からその顔だったから、本来の顔って見たことないけど、
 1年後の楽しみにとっておくわね?」

「…見ても、特に楽しいものではないと思うがな…。」

そこまで会話したところで、少し離れたところから一人の男が歩いてくるのが見えた。

油断なく挙動を伺うが、男は懐から宇宙警察機構に属する者の
証明であるライセンスを取り出し、味方であることを示した。

「よう、お前さん達が新任のデカだな?まずは、ようこそ地球へ。」

次いで、歓迎の意思を示すように、やや大げさに両腕を広げたその刑事を見て、
二人もライセンスを出して、敵味方識別をお互いに確認した後、上官にする略式の敬礼をする。

そして腕を元に戻してから、簡単ではあったが、自己紹介を始めた。

「新たに地球赴任となりました。宇宙刑事のドギー=クルーガーです。
 今後のご指導・ご鞭撻、よろしくお願いします。」

「同じく、地球赴任になりました、白鳥スワンです。
 メカニックその他、技術担当スタッフです。
 よろしくお願いします。」

二人が自己紹介を終えると、現地の刑事姿をした人間は
被っていた帽子をとり、陽気そうな笑顔で応えた。

「テラン星人の、チョウ・サンだ。チョウさんで通ってる、よろしくな、ひよっこども。」

そのままだな、とは思ったが、ドギーは口には出さなかった。

「そのままですね?」

スワンは出した。
ドギーは驚いて、咎めるようにスワンの方を見るが、悪びれた様子はない。

素で言ってしまったようである。

「へ、よく言われるぜ。バシバシ鍛えてやるから、覚悟しとけよ。」

いたずらっぽく笑うと、チョウさんは帽子を被りなおす。

基本的に眼光の鋭い人相をしているが、
笑うと何ともいえない愛嬌を醸し出す人物であった。

「ところで、テラン星人と仰いましたが、やはり上官殿も擬態してらっしゃるので?」

刑事の悪癖とも言える、気になることを追求する癖がドギーの口から漏れた。

だが、チョウさんは気を悪くしたそぶりも見せず、向けられた疑問に答える。

「上官殿は止せやい。チョウさんでいい。
 ま、そーゆーこった。さすがに元のままじゃ目立つからな。

 …“も”って事はお前さんもか、ひよっこ?」」

「ええ。…ところで、ひよっこっと呼ぶのは止めていただけませんでしょうか。」

多少、憮然とした顔で、ドギーが返事をする。

さすがのスワンも、一触即発の事態になりはすまいかと心配になったが、
チョウさんが笑顔で厳めしい雰囲気を受け流しているのを見て、
ひとまず胸を撫で下ろす。

「口が悪くてすまねぇな。

 じゃあ、まずは上官殿を止めな。そしたら考えてやるよ。」

「は…。失礼しました、チョウさん…で良いのでしょうか?」

「それでいい。よろしくな、ひよっこ。」

なんとなく面白くなさそうな様子のドギーの肩を叩き、
チョウさんはジェスチャーで着いて来いと促した。

先輩のクセの強い歓迎を受けつつ、一行が向かったのは
とある街のどこにでもある喫茶店だった。

ドギーとしては、任務のみを現地のデカから引継ぎ、
黙々と遂行するつもりだっただけに、虚を突かれた気分である。

だが、ベテランのチョウさん日く、
“現場の風習を知らずして、潜伏している犯人の捜査など笑止”との事で、
まずは、地球人になりきるところから始めろ、だそうだ。

その事に関してはドギーとしても異論がない。

先輩の意見を素直に容れつつ、
飲み慣れない地球式のアイスコーヒーをちびちびと飲みながら、
泰然自若に、ココアを味わっているスワンを交えて、
三人は親睦を深ていった。

そうこうするうちに分かってきた事なのだが、
チョウ=サンは見た目や雰囲気の軽さとは異なり、
行動力と視野に富んだ人物であると判明した。

数年前の地球担当だった宇宙刑事達のレポートを元に
その惑星独特の生態系から、各国の文化の違いの研究をし、
大きなところでは民族単位の風習から、
小さなところでは隣の家に住んでいる人間の大好物まで、
完璧に知り尽くしているのである。

ドギーやスワンが、1の質問をすれば、
2どころか、話題を膨らませて5にも、6にもして返してくるのである。

そこには、デスクワークだけではない
自分の足を使った成果が如実に現されていた。

「その辺の研究成果は、お譲ちゃん、アンタにやるよ。
 オレが持ってても、もう役に立たねぇ物だしな。」

チョウさんはそう言うと、だいぶ使い古されたコートのポケットから、
宇宙警察機構で使われている、独自の記録媒体を取り出し、
スワンの前に置いた。

それは一見、ただのボールにしか見えない物だが、
多次元式にプロテクトが組まれており、
一般人がどれだけ頑張ろうと、
情報は取り出せないようになっている優れものである。

記憶量が光量で示されるそれは、
情報が少ないほど暗く、多いほど光るようになっている。

目の前のボールは燦々と輝いており、決して大げさではなく
チョウさんが数年過ごした地球活動の、文字通り結晶であった。

スワンはうやうやしくそれを受け取ると、
言葉に出来ない感謝の気持ちを、一礼で表すしかできないでいた。

「そう畏まるなって。

 これからお前さんらがキツイ現場でやっていくんだ。
 これくらいはしなきゃ、格好がつかねぇ。

 ま、必要なデータを取り出したら、そこいらの子供にくれてやれや。」

軽く言って、快活に笑うチョウさんだったが、
実際にはそんな軽いものではない。

どれだけの時間と努力が費やされたか、分からないほどの物なのだ。

ドギーはチョウさんの笑顔に、本物のデカの輝きを見る思いだった。

「お前には後で女の口説き方も教えてやるよ。

 そんな仏頂面じゃ、駄目だって早く悟るんだぜ、ひよっこ。」

これさえなければ、素直に尊敬できる人なのに、とも思った。






2時間ほどが経過し、ひとまずの話題が出尽くした感のあった一行は、
ひとまず会計を清算してから喫茶店を出て、
現地で引き続き捜査をする、ドギーとチョウさんのペアと、
宇宙上空に待機している本部に戻るスワンとが二手とに別れる事にした。

「ひとつオススメの店があってな。

 ま、今度はそこでミーティングでもしながら、三人で飯でも食おうぜ。

 今日のお互いの成果は、そこで報告しあうって事で、宜しく頼むぞ。」

その言葉を合図に、一同は解散した。

数分ほど歩いた後、ドギーは自分の数歩前を
先導するように歩くチョウさんに向けて、素朴な疑問を口にした。

「上官殿。自分達はこれからどこに向かうのですか?」

「上官殿は止めろって言ったろうが。軍隊じゃねぇぞ、オレ達は。」

叱咤されて、約束を反古にしていた事に気づき、恐縮してしまう。

後輩としては、先輩の凄まじさを見せ付けられ、
尊敬の気持ちが自然に出ただけだったのだが、
嫌がっている以上、もう二度とすまいと、改めて決意する。

「すいません。わざとではないのですが、つい…。」

「ま、いいさ。お前の疑問ももっともだしな。」

そう言うと、今度は立ち止まり、コンクリートの壁に背を預け、
右手の親指で、とある集団を指差した。

「あいつらがなんだかわかるか?」

そう問いかけられて、ドギーが見たのは、
一見何の変哲も無い地球人男女の集団である。

「…いえ、普通の地球人にしか、見えませんが…。」

ドギーの言葉を受けて、チョウさんの顔が渋面になる。

何か失言したのは、一目瞭然だった。

「顔の区別がまだついてないのは仕方ないが、
 アイツらは気味が悪いくらい無表情だ。

 まばたき一つ、しちゃいねぇ。

 オマケに動きも精密に、一定のタイミングで動いてやがる。

 …観察面で、まず落第だな。」

言われて初めて気づく。

普通の通行人達は、人とぶつかりそうなら避けて通ったり、
速度が緩んだり、止まったりするものだが、
その一行は、全員が全く同じ歩調で、他人にぶつかるのも意に介さず、
目的地――現時点では、どこなのか不明だが――に向かって歩いていた。

「宇宙連合政府が禁じる、戦争目的の機械兵だ。
 犯罪組織が売りさばく、ご法度の品よ。」

「…そんな物が白昼堂々と歩き回っているのですか…!?」

愕然とした。

戦争目的ということは、つまり本来インプットされることの無い
殺人プログラムが入っている事である。

命令ひとつで、顔色一つ変えずに、今この場に居る人間
すべてを、ただの肉片にすらしてしまう、危険な代物である。

「なぜ、ここに居るとわかったんです…?」

ドギーが、すぐにでも飛び出しかける心を抑えて、
誰でも思い至りそうな疑問を、チョウさんに投げかける。

「オレは伊達に遊んでたわけじゃねぇぞ、ひよっこ。

 重軽を問わず、犯罪者どもが地球に潜伏しようとしてるのなんざ、
 先刻承知よ。

 死の商人どものマーケットまでは暴けなかったが、
 機械兵独特の通信音波を拾う装置を作って、
 追跡するくらいは、とっくの昔にやってらぁ。

 今回はテメェの腕前を見る為に、しばらく泳がせておいた
 集団の元まで、連れて来てやったのよ。」

先ほどまでとは打って変わって、
歴戦のデカの顔をした漢が、そこに居た。

自然と、気迫に押され、ドギーは姿勢を正す。

「ここから少し行くと、人気の無い裏路地に入る。

 そこでアイツらにしか聴こえない音波を出して、
 こっちに気づかせたら、実戦開始だ。

 怖気づいたんなら、とっとと母星に帰れ、ひよっこ。」

そこまで言葉を売られては、ドギーも退かない。

「誰に言ってるつもりですか、チョウさん…いえ、上官殿。

 自分は5代目の宇宙刑事、ドギー=クルーガーです。

 そんな軟弱者が、担当に選ばれると思っているなら、
 あなたの方こそ、帰るべきです。」

買い言葉に、わざとチョウさんが嫌がる“上官殿”の呼称で、応酬する。

それを受けて、チョウさんが不敵に笑うと、
ドギーもしてやったりと笑う。

「肝っ玉は合格だ。

 ヤツらを捕まえて、黒幕を吐かせるぞ。

 いくぜ、ひよっこ!」

行った瞬間、駆け出す先輩の背中を追い、ドギーも駆け出した。

その胸には、熱い血潮が燃え滾り始めている。







敵対行動を知らせる音波を、男女の集団に向けたデカ二人は、
12体から一斉に無表情で睨まれるという、
あまり体験したくない光景を拝まされた。

「動くな!宇宙警察だ!!」

チョウさんが言いながらも、敵集団に向かって走り続ける。

所詮、お決まりのセリフは社交辞令のようなものである、
犯罪者集団――ましてや、機械兵の集団――が、聞き入れるはずもない。

敵もその辺りは心得たもので、前衛に7体、後衛に5体の陣形を組み、
銃撃の支援を受けながら、格闘する姿勢を見せた。

だが、それもベテラン・チョウさんにとっては
あらかじめ予測できている行動に過ぎない。

様々な音波を発生させる小型の装置から、
今度は体の異常を生じさせる音を出し、前衛の物どもの
動きを封じてしまう。

そして瞬く間に、取り押さえてしまった。

快挙と言えるだろう。

ドギーの出番は、ないままかと思われたが、
5体の後衛が、敵わないと判断を下したのか、
さらに奥の人気の無い方向へ向かって、逃走を開始した。

「逃がすな、追え!クルーガー!」

先ほどと同じ真顔で、チョウさんが初めてドギーを名前で呼んだ。

つまり、ここからは単独任務で任せるというわけだ。

「得意分野です。」

そうと分かれば、先輩に自分の行動を見せるチャンスとばかりに、
短く言い放ち、ドギーは自慢の俊足で追跡を開始した。

それを見送ったチョウさんも、口元に笑みを軽く浮かべ、
倒れた機械兵を一体残らず取り押さえる作業に入った。

そして追っていった先は袋小路であった。

道を知らず、経路を誤ったのか、
味方を囮に、二手に分かれて各個撃破を狙ったのか。

慌てずに銃を構えるのを見るに、後者であるのは明白なようだ。

だが、ドギーは自然な足取りで近寄りながら、機械兵達に向かい
質問を浴びせる。

「お前達は、どこから来た。
 まさか、自然に沸いて出たワケもあるまい。」

ドギーの問いに対して、機械兵は無言で応える。
それに大して気分を害する様子も無く、つづけて質問をした。

「主は誰だ。言えば、手荒に扱うつもりは無い。」

これも無言である。

意思を持たない傀儡人形なのは、この数言で理解できた。

「どうやら、指図をしている者がいるようだな。
 …貴様ら全員を叩きのめした後、ご登場願うとしようか。」

そう言うが早いか、右足で強く地面を蹴り、
目の前の一体に刹那の時で逼迫すると、
体重と速度を十分に乗せた掌底を、その腹部に叩き込む。

断末魔の悲鳴を上げる隙すら与えられず、
動く為に必要なパーツを根こそぎ吹き飛ばされ、
最初の犠牲者たる機械兵は、沈黙した。

『ヴウィーーーン!!』

その様子を見送るしかなかった残りの4体は、
耳障りな機械音を口から出すと、
一斉にドギーへ向かって飛び掛る。

だが、すでにその行動を予測済みだったドギーは
すばやく身を翻し、包囲網の輪から抜け出した。

そうして背を向けたまま身動きのとれない1体の背に向かい、
左足を軸とした右のハイキックを、その右肩へとお見舞いする。

重ダンプカーが壁に激突した時のような鈍い音を立てて、
全身をバラバラにされ、また一体が沈黙した。

残り、3体。

「ふッッ!!」

脚に引っかかったままの機械兵を大きく旋回させて別の一体へと飛ばし、
相手の全身に絡ませて、動きを封じる。

開放された右足を地面に下ろすと、2・3歩ほど
体制を整えるステップを踏み、向かってくる2体に向き直る。

『ウィーーーン!!』

プログラムされた通りの動きを選択し、機械兵がまた、ドギーへと迫る。

だが、歴戦の戦士は慌てない。

隙だらけの構えでやって来る前方1体の右手を、
これまた自分の右手を使って、絶妙のタイミングで掴み取り、
合気道の要領で捻り上げ、自分の横へ誘導する。

続いて後ろから来ていた物へは、
左腿の中央へ握った左拳を正拳突きの腰回しで叩き込み、
数パーツ破壊し、運動能力を奪った。

姿勢を崩した敵が、片膝を地面に突くのを確認すると、
ドギーは右手で抑えていた敵を解放し、回し蹴りで離れた所へと吹き飛ばす。

そしてもう一度同じ脚を旋回させ、今度は崩れ落ちていた敵の頭部へ
容赦の無い踵落しを叩き込み、沈黙させた。

残り、2体。

ドギーは数歩ほど後ずさり、起き上がらないのを確認してから、
先ほど破壊した機械兵を絡ませて、動きを封じた機械兵へと向き直る。

その物はちょうど、哀れな仲間のパーツを引き剥がし、今まさに
反撃をせんと、立ち上がろうとしているところだった。

顔を上げて、ドギーの姿を求めたその時、
すでに致命的なまでに接近を許していた事に気づいてしまう。

瞬間。

頭を両手で固定され、目の前に何か黒い破壊槌のような
鈍器が迫ってくるのが見えた後、機械兵の認識プログラムは永遠に沈黙した。

鬼のようなドギーの握力で締め付けられた頭部が、その鍛え抜かれた膝の一撃を加えられて、
エネルギーの逃げ場を失い、いとも簡単に破壊されたのだった。

残り、1体。

吹き飛ばされた物は、なおもドギーに向かってくるようだった。

逃げるという選択肢は、コレらには存在しない。

すでに無線連絡で、自分の主に報告は済ませており、
足止めを命じられていたからだ。

それを察しているのか、いないのか、
ドギーは無言で向かってきた敵に対して、迎撃の構えを取り、
全力の気迫を込めた右拳を、胸部中央に叩き込んだ。

これで、0体。

火花を上げる機械兵から、右腕を抜くと、一掃した全体が
起き上がってこないこと、並びに、増援が来ないことも確認して、初めて構えを解いた。

ここまでに掛かった時間は、1分を満たないが、
運動量は、いわゆるスポーツ格闘の並みの試合量を軽く凌駕している。

だが、ドギーの呼吸は全く乱れていなかった。

(さて…、無傷の頭部をスワンに渡して、黒幕が判明すればいいが。)

深呼吸を一つすると、宇宙上空にある本部にて待機となったスワンに
連絡をとるべく、自分の懐から通信手段であるライセンスを取り出した。

「待てよ、この野郎。」

突然、上からドスの効いた声が降ってきた。

それと同時に銃声が響き、ドギーのライセンスが宙へと弾き飛ばされる。

「!」

だが、次の瞬間、手から離されたライセンスを追って自身も飛び、
地面に落とす事なくキャッチすると、ドギーはそのまま前転の姿勢でしばらく転がり、
声の主へと向き直った。

そこには、ごく一般的な地球人の姿をした
30代前半ほどの成人男性が、密輸したと思しき拳銃を構えて立っていた。

「お前が黒幕だな。」

「あ~あ~あ~…。派手にやっつけてくれやがって…。
 いくらしたと思ってんだよ、コイツら。

 高かったんだぜ?」

ドギーの誰何には応えず、男は拳銃を持っていない手のほうで
残念そうに頭を抑える。

「弁償してもらおうか。テメェの装備を遺品にしてな。」

擬態した地球人の皮膚を突き破り、紅く鋭いトゲが
顔、体、手、足、ところ構わず生えてくる。

厳密には元の姿に戻ったのだろうが、
異形に変ずる様を演出するようで、あまりいい趣味とは言えないだろう。

「…ゲド星人か。」

ドギーは特徴のある姿を見て、犯罪者の正体を一瞬で看破した。

犯罪者――名をカラードと言う――の後ろからは、
どこに隠れていたのかと思うほどの機械兵が
現れてきた。

「当たりだ。だからって、どうってことは無いけどな。

 けへへ。これだけの数に囲まれちゃ、テメェも終わりだなぁ。
 初対面で死ぬってのも寂しい話だが、

 ま、これも縁ってヤツかぁ?

 オレの人生の踏み台になってくれや!」

ゲド星人・カラードが、下品に笑い声を上げて、小馬鹿にするような
ジェスチャーをして、銃を構え直す。

現在の状況など、逆境でもない瑣末事と言わんばかりの、傍若無人な振る舞いであった。

だが、ドギーはそれを見ても顔色一つ変えない。

それどころか、憐れむ雰囲気すら漂わせ、
カラードに向かって冷たく言い放った。

「三下風情に舐められる云われはない。

 覚悟するのは、そちらである事を教えてやろう。」

語気を鋭く、そして短く、そのようにだけ吐き捨てると、
ドギーは自分専用のライセンスを構え、特殊指令のコマンドを唱えた。

「エマージェンシー!」

太陽を浴びて、ライセンスが光る。

「デカクルーガー!!」

瞬間、ラグランジュポイントの本部より、
形状記憶合金Dメタルが目視不可能なほどの微粒子状で
ドギーの体を包み込んだ。

傍目には光に包まれるように見えるため、
宇宙刑事によっては「赤射」等の
異なったコマンドを唱えるものも居るほどだ。

黒を基調とした柔軟性に富むスーツがドギーの全身を覆っていき、
ライトブルーに光るメタルアーマーが、更に装着されていく。

「フェイス・オン!」

そして、それは頭部をも覆い、絶対の防御と化す。

この間、約0.5秒。

これが、素手で相対するには危険な相手に対して使う、
宇宙警察機構に属するデカの、高等装備・Dスーツであった。

「銀河一刀流を馳走してくれる。あの世で、死神への土産話にするがいい。」

言うと同時に、愛刀・ベガを鞘から抜き放つと、
縦一文字に構え、闘気を開放していく。

これが後年、デカマスターと呼ばれる漢の初陣であった。


~つづく~



けっこう長くなってしまったんで、
第一話は前・中・後に分かれてしまいました。

戦闘シーンが書いてて超楽しかったんで、
次回の本番でも暴れまわっていただこうかと思います。

デカマスターが、現在デカクルーガーという名前の理由や、
その他の解説については、おいおい紹介していきます。

ちなみにチョウさんの顔は、故・いかりや長介さんのイメージです。

やっぱ、まんまがいいだろうと思うんで(笑)

では、また~
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  1. 2007/04/08(日) 23:28:18|
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しろがね えいじ

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